新作「Men's Wallet【Slim】」 [革・鞄(produzioni, pelle)]
ようやくアップできました
渾身の新作メンズ長財布『Men's Wallet【Slim】』です
春の西日本営業行脚で姫路のタンナーに立ち寄った際にちょうど作ってた革にボクは心を奪われました
それは最高級革として財布などに使われる、馬のお尻の部分の革「コードバン」
ただ、一般的なコードバンは人工的なツヤ感があってどうも好きにはなれませんでした。
しかしこのコードバンはとてもナチュラルな仕上げでとっても風合いがありました
しかも一般的なコードバンは、繊維の細かいいわゆる「コードバン」と言われる丸い部分のみを切り取って、周りの俗に「メガネ」と呼ばれてる繊維の荒い切り取られた部分は、ベルト用などに使われるのですが、このコードバンは切り取らないでそのままの状態で仕上げられます。
なので繊維の細かいコードバン部分と、繊維の荒いメガネとの境目が見て取れるのです。
この革、使えそうだな・・・
そう思って頭の中にインプットしていました。
そして新作で財布を作ろうと考えた時に真っ先にこの革が浮かんで、こげ茶とベージュ各1枚を取り寄せました。
試作で革を裁断する際に、初めはきれいなコードバン部分のみ使うつもりでした。
しかしちょっと発想を変えてみたのです
「あえてメガネ部分との境目を使った方が面白いんじゃないか・・・?」
ということで、表面の大きなパーツはきれいなコードバン部分を、中のパーツには境目の部分を使ってみることにしたのですが・・・
これが大正解
すっごく味のある財布に仕上がったのです
また、中に使う革にはもう1種類、カーフ(子牛)の革を使うことにしました。
実はこの新作財布、8〜9月に完成させるつもりで、外側に使う革はすんなりコードバンに決まったのですが、中に使う革がどうしてもしっくりくる革が見つかりませんでした
それで製作が進まなかったのですが、9月末に行きつけの革問屋さんに行った時に、革問屋さんとしても在庫処理したい1枚だけサンプルで残っちゃってた革を、安く買わせてもらったのですが、その中にイタリア製のカーフがあり、色合いと風合い、固さがイメージにばっちり合っていて、「よしコードバンにこの革を組み合わせよう」ということになったのです。
さてこの長財布、当初の予定ではもっとカード入れを増やす予定でした。
ただ構造的にどうしたらベストなのか悩んでしまい、イベントが間近に迫ってたこともあって、今回はすっきりスリムに持ちたい方のための財布にしようと決めました。
なのでかなり薄い構造にしてみました。
お札を入れるところは2カ所あります。
ここと・・・
ここです。
前側の方が出し入れはしやすいので、例えば諭吉さんは奥に、英世さんは手前に・・・みたいな使い方もできます。
あるいは前に入れるとお札の角の数字が見えるので、あえて前側に諭吉さんをいれてもカッコイイのかもしれません
または前側にチケットやレシートを入れてもいいでしょうね。
いろいろな使い方が出来るかと思います。
コインスペースは、すっきり持ちたい方は小銭はあまり入れないだろうという想定で、薄く小さめにしました。
ただこの構造だとファスナー金具が出っぱってしまうので、カード入れのカードに傷をつけてしまわないように、いろいろ考えました。
試作では一部に小さい革のパーツを被せる感じに作ったのですが、みっともないのときれいに覆えないのとでその方法は断念
結論として「金具の一番出てる部分だけ革で覆えばなんとかなるだろう」ということで、写真のように強力接着剤で革を金具に貼付けました。
各ポケットの裏にはしっかりと薄い豚革を貼っています。
どんな高級ブランドの財布でも、カード入れの裏になど革は貼らないのですが、ボクのポリシーは「やるなら徹底的に」なので、カード入れの裏もしっかりと豚革を貼っています
なので、本来のボクなら表のコードバン革の裏にも革や芯材を入れるところなのですが、このコードバンの裏(床面)はシルクのように滑らかで、なおかつ繊維が細かいために一枚革でも強度はしっかりあるので、表のコードバン革の特性をしっかり生かすために裏は敢えて貼らずに一枚革で仕上げました
化粧箱ももちろん作ってもらいましたよ〜
この新作メンズ長財布、銀座松屋の催事とデザインフェスタに出品するために作っていて、先々週の「すみだの手しごと展」の最中に完成し、せっかくなので手しごと展にも参考展示していました。
そしたら家で作業中に会場から連絡があり「どうしても欲しいというお客様が・・・」ということで急遽会場に駆けつけました。
それで直接お話させていただいたのですが、「まさしくこういうのが欲しかった」ととても気に入っていただいたので、イベントが全て終わったらお送りすることにしました。
そして今日先方に届きました
銀座松屋やデザインフェスタで展示しましたが、やはりかなり注目を浴びていました
特に銀座松屋では、搬入&設営の最中に通りすがりの店員さんたちがふと立ち止まり「これカッコ良くない」「すごいねこれ」などと話してました
「こういうのって高いんだよね〜」と値札を見て去っていきましたが、催事の期間中も多くのお客様が脚を止めて見入っていました
もうすぐクリスマスシーズン
男性にいい財布を贈りたいという方は、ぜひご参考ください
いまカート付きホームページを作っているのですが、もう少し掛かるので、ご注文はメールにて承ります。
aballi328@gmail.com
よろしくお願いいたします。
すげぇ、めちゃ薄い!
前に、薄くする技術は難しいって言ってたのに・・・さすがΣ( ̄□ ̄;)
by はるし (2011-11-17 22:32)
☆はるしちん
この構造だったら実はそれほど大変じゃないんだよね(^_^;)
それでこれだけ商品化出来たんだぁ♪
ただこれがカード入れもっと増やしたり、女性向けのいっぱい入れられる財布となると・・・一気にハードルが上がってしまうぅぅ〜(-_-;)
by 加ト (2011-11-18 08:45)
かっこいいですね。
自分は趣味で財布作ってますけど、この長財布のコインケース部分は想像出来ません。中の布地はどうなってるでしょうか。手前の革も布地貼ってるのですか?布地貼ると厚くならないですか?
それにしてもいぶし銀の財布ですね。
by naka (2011-12-07 20:17)
☆nakaさま
ありがとうございます☆
コインケースの部分は薄くて丈夫な布を袋状にして、ファスナー周りのところで革と縫い合わせてますよ。
財布って厚くならないようにするのが難しいんですよね〜(^_^;)
by 加ト (2011-12-08 22:19)
カッコイイですよね!( v^-゜)♪
どれぐらいの待ちなんでしょうか?
by 小吉亮 (2013-11-13 20:47)
☆小吉亮さま
お褒めのお言葉、ありがとうございます!
人気商品なのですが、全てひとりでやっているため、なかなか在庫が積めない状況ですが、ご注文いただければ、1ヶ月前後ぐらいでお作りする事ができます。
それから、革の表情が、革を作ってもらう度に毎回少し違うのと、1枚1枚の個体差も大きいく、キズなどを隠さず鞣している革ですので、出来上がった財布も1個1個表情は少し違います。
ただ極力遜色のないように作っておりますので、ご期待には応えられるかと思いますが、表情の誤差をご了承頂ければと思います。
by 加ト (2013-11-14 14:23)