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アワード2016出品「反射革メッセンジャーバッグ」と審査会のご案内 [革・鞄(produzioni, pelle)]

 
今年もJapan Leather Award の季節がやってきました[グッド(上向き矢印)]

「Japan Leather Award」は、JLIA(日本皮革産業連合会)が主催する日本の革を使った日本最大の革コンテストで、2008年より実施し今年で9年目を迎えました。

おかげさまでABALLI

2012年「キーコロネ」で雑貨部門賞
2014年「にじいろバニティ」で日本エコレザー部門賞

を受賞させていただいているのですが、ボクみたいな個人でブランドを立ち上げた人間が今後やっていくには「最低でもグランプリ」という思いは常々持っております。

ただ、グランプリを生かせる体制が整っていなかったので、これまで部門賞狙いでやってきました。(もちろんグランプリ獲れたらなという思いはありましたが)

さて今年…

というか今回は昨年末から構想を練りはじめていました。
関西出張中にたまたま宿で見たテレビで紹介されてた「反射インク」を知ったのがきっかけでした。
※正式には「再帰反射インク」です。

ボクがABALLI立ち上げ前から真っ先に商品化したかったもの。
それはメッセンジャーバッグです。

イタリアでも自分用に作りましたし、日本に帰ってきてABALLI立ち上げ前にも1個作っています。
そして長年使いました。
しかし、商品化には立ちはだかる難問が大きすぎて、いまだに商品化できていませんでした。

そして以前から何となく思っていたことが「革の風合いを活かしたシックなメッセンジャーバッグは、夜の車からの視認性がよくない。」ということでした。
かといって、ダサい反射シートなどを貼り付けるようなマネだけはしたくありませんでした。

ボクのポリシーとして

革のバッグである以上「革らしさが出ていてカッコよくなければならない[exclamation]

という思いがあるからです。

「革の風合いを活かし、なおかつ夜の視認性、安全性が高い革メッセンジャーバッグは作れないだろうか?」と思っていたボクにとって、反射インクとの出会いは一筋の光明でした。

年が明けて、早速動き出しました。

1月、北陸にある某インク会社に出向いて、反射インクについていろいろとお話を伺い、革への印刷あるいは塗布の難しさを痛感しました。

下地シーラーもネットで調べて取り寄せたりしました。

そして一番肝心なタンナー(革なめし業者)とも協議しました。
そのタンナーも反射インクを使った革の商品化を考えていたようで、試作したものの、商品化には至らなかったということでした。
その経験と知恵を拝借し、あとは自分が「どんな革にどうやってインクを乗せるか」というところを実験しなければなりませんでした。
 

誰も成し遂げていないことをする[exclamation]
 

「反射革」の開発の本格始動である[グッド(上向き矢印)]
 

(NHK「プロジェクトX」の中島みゆきの「地上の星」を頭の中でBGMで流してご拝読ください )

[るんるん]風の中のす〜ばる〜 砂の中のぎ〜んが〜…

 
加藤は悩んだ。

「ただ単に反射インクを印刷しただけだと、革の風合いが消えてしまい、革である必要がなくなってしまう。」
「革の風合い、質感を活かしながら、こんなハードなインクを革に乗せるなんて…」
「一体どうすればいいんだ…」

「しかもインクが剥がれないようにしなければならない。」
「自分が好きな風合いのあるオイルレザーへの塗布では絶対剥がれてしまう。」
「やはり使う革はアレしかないか…」
「でもその革で果たして望むような風合いはだせるのだろうか?」
「どうすればいいんだ… どうすれば風合いよくカッコイイ反射革を作れるんだ…」

加藤は行き詰まった。

しかしある時、その瞬間はやってきた。

とある地方イベントで、常連のお客さんであるHさん(インク会社勤務)と、インクの革への塗布の相談をしていた時であった。

加藤の頭の中に、ひらめきが降ってきたのだ!

加藤に、一筋の光明が見えた。

家に帰り、早速そのひらめきを実験してみた。

「これならイケるかもしれない…」

その実験サンプルをタンナーに送り、仕上げ処理をしてもらった。
2種類の革のうち、1枚はインクが剥がれてしまったが、もう1枚は問題なく、風合いもイメージに近いものだった。
仕上げ処理の表情を若干変えればさらによくなるかも。

「よし!これでいこう!」

タンナーから本番用の革を取り寄せ、インクも追加で作ってもらい、特注色3色の反射インクの塗布にかかった!
塗布は困難を極めるものであったが、なんとかイメージ通りに完了させた。

そしてその革をタンナーに送り、仕上げ処理をしてもらった。

ABALLI特製の風合いの良い反射革の完成である[exclamation]

 
しかしここで大きな問題に直面する。

革が仕上がってきた時点で、アワード締め切り20日前。
他の忙しさもあり、デザインが決まらないのである。

デザインが決まらない中、時だけが過ぎていった。

メッセンジャーバッグのデザイン路線をどの路線にするかで決めきれない…。
新しい「反射革」という企画に対し、デザインも新しいことを取り入れたい。
でもそれは危険な賭けでもあった。

締め切り1週間前になっても決めきれない。

加藤は決断した!

「もう何も難しいことは考えずに、自分の好きなように作ろう!」

自分の「新しいモノ」を作りたいという思いに正直になろう!
 

そうして型紙を作り終えたのが締め切り4日前であった。

もちろん試作などできない「一発本番」での製作である。
しかし、今回のデザインや機能性には、ABALLI立ち上げ前に作った2つのメッセンジャーバッグの試験的要素を取り入れた。
それによりその要素のメリットを活かし、デメリットを改善したものづくりが出来たのだ。

最後の3日間はまさに死闘であった。

「なんとしても完成させる!」

加藤は最後の死力を振り絞って縫い上げた。

 
「反射革メッセンジャーバッグ」の完成である[exclamation]

 
(※撮影する時間がなく、作品提出場所のビルのエントランスで撮影したので、ちゃんと撮れてません)
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外して洗濯が可能な着脱式パッド。
そして汗の湿気をバッグ内へ入れないエナメル生地。
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車からの視認性も別格です[ぴかぴか(新しい)]
メッセンジャー比較_500.jpg
※ハイビーム使用時
 
 
アワードHPに全作品が掲載されています。どれも素敵な作品ばかりですのでぜひご覧ください。
http://award.jlia.or.jp/2016/list/

ちなみにABALLIの反射革メッセンジャーバッグはこちら
http://award.jlia.or.jp/2016/list/detail.php?no=J16A-3752
 
 
そして今週末の10日(月祝)、11日(火)の2日間、大阪の阪急うめだ本店9階「うめだホール」にて1次審査会が開催されます。

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※Japan Leather Award のFacebookから使わせていただきました。

一般のお客様も予約不要で150名まで一般審査員として審査することができます

HPで見る限り、どの部門にも素敵な作品でいっぱいです。
ボクが出品した「メンズバッグ部門」にも素晴らしい作品がいくつもあります。

正直、今回は部門賞も難しいかな?と思ってしまいます。

関西方面の革の好きなみなさま
ぜひ阪急うめだ1次審査会で審査してみてくださいね[わーい(嬉しい顔)]
 
 
そして関東のみなさま
22、23日(土日)には神田マーチエキュート2次審査会があります。

こちらは一般審査はないのですが、1次審査通過の100作品を見ることができます。

こちらもぜひご覧ください。
 
 
さあ、今年のJapan Leather Award の行方はいかに[exclamation]
 
ボクはもうやるだけのことはやったので、神様仏様に祈るのみです。
 


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みき

耐摩擦性があまり強そうには見えませんが、大丈夫ですか?

反射材を塗布した革を使ったものとしては、既にレザージャケットが存在しますよ


by みき (2016-10-13 13:36) 

加ト

☆みきさま
コメントありがとうございます。
反射材を塗布したレザージャケットの存在をお知らせいただきありがとうございます!
検索しても見つからなかったのですが、もしよろしかったら教えていただけますか?
レザージャケットがどういうものかが分かりませんが、反射インクを革にプリントする加工は、どこか他社さんがきっとすでにされているかと思っておりました。
私が求めたものは柄などのプリントではなく「塗布された部分も革の風合いを感じる反射革」なのですが、レザージャケットもそのような加工でしょうか?
耐摩擦性はボロボロ剥がれてくるようなことはないと思いますが「どんなに痛めつけても全く剥がれない」という100%完璧なものでもないと思っております。
使い込んで少し剥がれた感じもむしろ風合いとなるような塗布、デザインで作っております。
作品が返品されたら実際使い込んでみる予定です。
by 加ト (2016-11-18 21:23) 

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